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四月になると

早いものでもう四月。

四月になると必ず思い出す詩がある。

T・S・エリオットの「荒地」。

5部、433行の長編の詩である。

西脇順三郎の訳では次のように始まる。

「四月は残酷極まる月だ

リラの花を死んだ土から生み出し

追憶に欲情をかきまぜたり

春の雨で鈍重な草根をふるい起こすのだ。

冬は人を温かくかくまってくれた。

地面を雪で忘却の中に被い

ひからびた球根で短い生命を養い。」

この詩は1922年に発表された。

第一次大戦後の荒廃したヨーロッパの精神的風土を、象徴的な手法でうたった有名な詩である。

日本では第二次大戦後に、戦後の日本の状況がやはり荒地ととらえられ、現代詩のグループ「荒地」により「荒地詩集」が出版された。

その題名もこの詩によっている。

この詩に初めて接したときから惹かれるものがあり、毎年今頃になると、この冒頭の詩句を思い出す。

ただ「荒地詩集」に紹介されたときは、誰の訳か忘れたが、次のように始まっていたと記憶している。

「四月は最も残酷な月だ」

今改めて、西脇順三郎訳で読んで見ると、なんと西脇自身の詩に似ていることだろう。

「アムバルワリア」、「旅人かへらず」などの語法は、大変似ているように思える。


ものの芽のほぐるる先の光りをり 深見けん二


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